丸鋸スライド台の作り方:コンパクトで正確に横切りができる丸ノコ治具

丸鋸スライド台

長らく お待たせしました。みんな大好き、丸鋸スライド台を公開しました。丸ノコを使う治具としてスライド台は優れていると思います。やはり作業性がいいですね。2年ほどかかった理由は先回の記事に書きましたが、お陰様でクランプの課題は解決しましたから、これで無事丸鋸スライド台の完成となりました。作り方は色々とありますけど、スライド台の課題は4つあると思ってます。
 
1.丸ノコの重さに耐えられるレールの構造
2.レールの直角調整
3.治具の大きさ、重さ
4.繰り返し同じ寸法に切る機能

まずはレールです。重い丸ノコを乗せた時にたわまないようにするにはどうするか。そして切断用フェンスに対して直角に調整する構造をどうするかです。

「たわみ」・・これがあると丸ノコが傾きます。レールは左右にありますけど、重さが乗るのは左側、モーターがある方です。つまり左の方が大きく下がるから丸ノコが傾くわけです。1mmレールが下がった状態で2x材を切った時、垂直の直角に対し0.3mmのズレが出ます。結構大きいですね。

レールにはアルミアングルを使いますが、2x15x15では強度が足りないです。相当な補強をしなければレールの長さにもよりますけど、かなりたわみます。渡りが400mmくらいでのたわみを見ると3x20x20ならほぼないことがわかりました。逆に言えば400mmよりも長く、これよりも薄く、高さもないアングル材だとたわむと言うことです。これから丸鋸スライド台を作ろうかなという人は使うアルミアングル材の大きさと長さをしっかりと見極めてくださいね。

木材は横に寝かせた状態ではしなりますから補強は気持ち程度なので、しっかりするなら金属を使うべきですね。アルミ四角パイプとか。

さて、同時に大事なのは結果として切れる厚みです。レールの厚みは丸ノコの切込み寸法に影響します。2x材は切りたいですから最小でも38+で40mmですね。少し余裕を持たせて45mmくらいにしたい。DIYでよく使う丸ノコだと最大切込み深さは56-66mm程度です。となると56-45=11mm・・これがレール厚で失ってもいい寸法です。で、ここで伏兵現る!アルミアングルは3mm厚なんですけど、最大切削深さになる前にモーターがレールに当たるんですよ。3x20x20だとそれなりに失います。結果-10mmくらいですね。ぎりぎりセーフ。そうそう、刃径165mm以上なら設計通り作って、45mm以上切れると思います。147mm以下の場合で2x材まで切りたい時はレール材を変えます。たわみはわずかに出る可能性がありますが、切込み深さはほしいですからね。刃径と切込み深さについては図面に詳しく載せました。

で、kikikumaは補強桟を横に付ける設計としました。たわみに対しては気持ち強度を上げるだけですが、レール幅が広がるので固定用ビスが幅方向に複数打てるようになります。これで直角調整がしやすくなり、治具部材の構成もシンプルになりました。

次いで治具の重さと大きさです。重さは治具構造によります。上記のレールもあり、15mm合板だけで作れますから軽くできました。ですが、この治具で何がしたいか?ということもあります。正確な横切りなら、コンパクトでいいはずです。このデザインで360mmまで切れます。更に縦挽きも45°カットも・・となってくると本体を長く、大きくしなければなりません。で、考えたんです。取り敢えず切りたいからといって治具を大きくしたら、今度は取り出して、使って、片付けて、という流れが面倒なことになるし・・横切り治具は一番使いますからね。

45°カットは長く家具作ってますけど、kikikumaはほぼ使いません。ごく希です。一応45°カットも想定していますけど、コンパクトさ重視にしました。45°留めの額は作ります。ただ、これは専用の治具を作りました。精度が出る左右で45°が切れる治具です。額を作るなら専用治具が断然オススメです。皆さん45°カット必要ですか?何に使ってますか?教えてくださーい。

で縦挽きには縦挽きの要件があります。幅を揃えて切りたいですよね。となるとそれ用のフェンスが必要。うーん、やっぱりシンプルに横切りをする治具がいいかな。縦挽き用の治具がありますしね。まあ、この治具はなんでもできる系なので大きいです。治具としての完成度はあると思ってますが、シンプルでコンパクトな治具の方が使いやすいかもしれませんね。

最後に「繰り返し同じ寸法に切る」です。横切りには必須という機能です。何を作るのでも、部材が複数あれば同じ長さに切る作業が必ずあると思います。そもそも「測りながら切ってはいけない」は木工のルールその1です。聞いたことないですか?

部材を測って、スミを入れて切る・・というのは間違いの元です。コンベックスや定規の見間違いはいつでも起こります。またひとつずつぴったり同じ長さに切るのはなかなか難しい。大工さんは部材が大きいので仕方なしです。また0.5mmのズレなど気にしなくてもいいのです。でも、家具や小物はそのズレが後々影響します。だから「測らないで切るべし」なのです。寸法決めストッパーを使いましょうね!

そんなこんなでできました。kikikuma型丸鋸スライド台、使ってみてねー!

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