工具カートを作ろう

工具収納カート


 新しい作業カート・・25年ぶりに新調しました。

前作ったものはとある雑誌のお仕事で設計して作ったものでした。天板にジグソーを付けたりできる仕様でした。実際は汎用の作業カートとして大活躍、なくてはならない道具になりました。一番使うのは製材時ですね。切り分けた材料を乗せて、手押し、自動カンナ、昇降盤へと移動させながら作業を進めます。そして彫刻的な作業の時はサンダーやグラインダーを複数使うので、それを乗せておく工具カートになります。電動工具は意外と場所を取りますから、作業台だけでは間に合わないことがままあります。

さて、新作・・引き出しと工具用の専用ラックを付けました。製材時は前の物を使いますから、こちらは工具カートになります。なかなか工房で使う物を作る機会がなかったので、やっとという感じです。皆さんに見てもらうからというのもありますけど、今回は細かいところもよく考えて、ちゃんと仕上げました。いやーうれしいわー!

動画の補足説明しておきます。

■カート本体の作り方

「ドリルだけで作れるもの」という考えから設計しました。材料を切る作業はありますけど、これはホームセンターもありますから。ドリル以外の道具であるといいのはクランプです。4本あるといいですね。ドリルの次はクランプを手に入れましょう。

今までのkikikumaの作り方を見ていただいておわかりとは思いますが、できるだけクランプを使わないで済む方法を考えてきました。「ネジdeクランプ」もそういうことから思いつきましたが、クランプは結構な出費になるので最小限でと思います。30~40cm長のものが4本あれば大抵のことはできると思います。それより長い物は本当に必要になった時に手当したらいいと思います。60~80cmのクランプですね。

まあ、実はクランプはいま何本持っているかわからないくらいにあります。そして今後も増えていくんだと思いますけど、うーん・・・不思議な道具です。怖い。

■引き出しの作り方

箱をある程度の精度で組み上げたいと思うと、ジョイントを作らずにビス止めのみでというのは意外と難しいんです。もちろん適当にはできますが、いつか「ああ、もっと精度よくしたいな」と思うことがあるかもしれません。素直に一手間かけてトリマーなどでジョイントを切るのがひとつの答えなんですけど、「位置決めブロック」でも十分ですね。これで精度を上げながら、気持ちよく作業ができます。

■スライドレールの取り付け

取り付けの前に引き出しの幅寸法について。今回使った3段引きのレールは厚みが12.5mm(1/2インチ)です。ただ、引き出しの幅を決める際の寸法は「12.7-0,+0.8」つまり12.7は必要で、片側+0.8mmまでは余裕があるという意味です。今回開口部幅は540mmですから、12.7x2を引くと514.6mmです。引き出しの幅がこれ以上大きいとレールがうまく動きません。また540-(12.7+0.8)x2=513mm これ以下でもダメですよということです。 

材料を切るときにどの寸法を目標にするか・・範囲は514.6~513mmですが、材料をある程度の精度で切れるのであれば514mm、色々と難しい場合は513mmだと思います。理由はマイナス方向であればあとで足せるからです。仮に引き出しを組み上げたら、513に足りず512mmだったとしましょう。この場合はレールの下にスペーサーを入れればOK。いつものプラ板です。0.5mmを左右に入れたら513mmになります。

タミヤのプラ板セット:https://www.tamiya.com/japan/products/70003/index.html

さて、調整。今回のように引き出しが1杯ならスライドレールの調整は簡単です。高さだけ気をつけます。引き出しに付けたレールの方を取り付け穴からスミ線を見ながら上下に動かせばいいはずです。もし大きくズレていたら本体に付けたレールも動かします。最後に固定用ネジを打つのを忘れずに。

そうそう、前板を引き出しに接着する際に思いのほか左右どちらかにズレたときも、スペーサーでレール位置を調整して前板が開口部中央に来るようにします。「引き出しの幅はマイナス方向で」というのはこの調整でも活きてきます。レールで調整しきれないときは脚に当たる方の前板の木口を削ります。

今回動画で使ったスライドレールは高千穂交易の扱うKing Slide社のものです。お安いので試しにと思い使ってみました。ソフトクローズ機構付きなので最後自動で引き込みます。全体としてはいいと思います。ただ、引き出す際の抵抗が強く、グッとちからがいります。重い物が入っている引き出しならいいのですが、今回のようなサイズだとちょっと気になります。経年で落ち着くかもしれませんけどね。また説明書も取り付けビスも付属していませんでした。玄人志向ですね。初めてならやはりスガツネ、LAMPのものをオススメします。

■天板、棚板を作る

縁を付けておくと道具をコロコロと落とさずに済みます。棚板の脇に桟を付けたのは、ここにフックなど付けたら色々とできそうだなという考えです。

■工具収納を作る

ここはDIYをする面白さが詰まった部分で、アイディア次第です。丸のこなどを収納するなら製作用図面を参考にしてみてください。オリジナルのものを作る際は段ボールなどで試作をするといいと思います。

■各パーツの取り付け

キャスターは専用ブラケットを使うタイプですが、回転軸をできるだけ外側に持って行きたい場合に重宝します。取り付けも簡単です。ただ、ブラケットの耐荷重はプレートタイプよりも低いのですごく重い物を乗せるカートや作業台には向いてません。

詳しい製作用図面があります。是非お役立てください。こちらからどうぞ

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