カンナ、刃研ぎのコツ

カンナ刃の研ぎ

カンナが切れない・・ありますよね、あるあるです。

ホビーカンナの動画にコメントがありました。

「初めてホビー鉋でここまでやる人見ました!刃の研ぎ方のコツとかありますか?いつも失敗して切れなくなるなるので、、、」 

研ぎのコツは短くまとめられないのでここに書いておきますね。お題はホビーカンナの刃研ぎですけど、まあ、平鉋も同じです。うまく研げないなあという方の参考になればと思います。

さて、刃を研ぐというのは「刃先を研ぐ」ことです。これ・・すごく大事。

原理からいえば本当に刃先0.3mmほど研げばOKなのです。2段研ぎ、英語ではsecondaryとかmicro bevel といいますけど、「しのぎ面」の角度より少し鋭角に研ぐことで、刃先だけを研ぐ技術です。ただ、これはジグなしでは難しく、手研ぎの場合は熟練が必要です。

参考:Sharpening Plane Irons Part 1: Honing the Micro Bevel

一般的には鎬面を研ぎながら刃先も研ごうとするわけです。ところが鎬面を平らに砥石に当てて、全面を均一に研ぐには相当な慣れが必要で、手先がグラついて刃先にまでうまく砥石が当ってないことが多いです。研いだけど刃先がちゃんと研げてないわけです。コメントの「失敗して切れなくなる」はたぶん「刃先が研げてないから研いでも切れない」だと思いますけど、どうでしょう?

コツは「ちゃんと見えるようにする」「見て確かめる」ことです。

■刃先の研ぎ方

鎬面にマジックで縦に5~6本線を書きます。1000~2000番で鎬面を研ぎます。砥石に鎬面を当てて、角度を変えながら落ち着く場所、面全体が当たっている角度を探します。少し研いだら確認します。鎬面の「全面または中央から刃先まで」(刃先のみではありません)のマジックが消えていればOK。刃先のマジックがまったく消えてないということもよくありますよ。これが研げていないサインです。

刃先を研いでいることを都度確認します。これを繰り返してわずかに刃返りが出るまで研ぎます。マジックが後半分とかに残っていたら、最後に「鎬面の全面」を意識して研いでみてください。多分消えます。まあ、少し残ってもOK。いつか消えます。

常に鎬面全面を意識するのは大事です。できるだけ全面を削るようにしますが、刃先が研げなければ意味がないので、気持ち刃先側に研ぐ感じです。何度も研ぐと刃先が鈍角になっていきますので、余裕が出たら、たまには気持ちを後端に寄せてバランスを取ることも必要です。こういう作業で砥石と鎬面の当たり具合、手加減が学べます。

ちなみにホビーカンナの刃は回転砥石で仕上がっていますから、鎬面の中央部が凹んでいます。これは刃先が研ぎやすい状態です。ほんの数分で研げるはずです。中央部にマジック残りますけど、刃先と後端のマジックを消すように研ぎます。

次に仕上げ砥で同じことを繰り返し、最後に刃裏を研ぎますが、ホビーカンナの刃裏はわずかに角度を付けて研いであります。上記の参考ビデオで定規を砥石の上に乗せて裏を軽く研いでますね。刃返りを取るにはこの定規のトリックが必要です。実はこの刃裏の状態はホビーカンナ動画の収録時に気づかず、動画では触れていません。先日研ぎ直している時に刃返りがうまく取れないのでわかりました。

■刃先の確認

刃先も研いで、「刃返り」も出たし・・これでOK・・となるはずですが、刃返りというのがちょっとわかりにくいことがあります。研ぎ終わったら、刃を垂直に立てて、刃先に光を当てます。光がきれいに当たると刃先に白く線が見えることがあります。これはまだしっかりと研げていないサインです。光の線が出なくなるまでもう一度研ぎ直しましょう。


最後に、カンナが切れない時に確認すべき順番です。

1.台の状態・・調整がしっかりしていないと刃が付いていてもちゃんと切れません。

2.砥石の状態・・しっかりと砥面が直っていないとうまく研げません。

3.刃先が研げているかどうか・・つまり最後です。1と2のことに対処してから刃研ぎを始めましょう。

これは学ぶ順番でもあります。ひとつずつ理解してから進んだ方が楽です。研ぎが気になるとは思いますが、砥石が刃先を生むことを理解しないと、うーんと遠回りすることになりますよ。(体験済み)

刃研ぎはそれぞれに流儀があり、考え方も色々です。まだ初心者でよくわかない、年に数回しか研ぐ機会がないなら、まずは「結果の出る研ぎ」をするのがいいと思います。俗に言う多少「丸刃」になっても・・気にしないことです。後で何とでもなります。何度も研ぐ内に、もっと上達したい、何時間研いでもいいと思えるのなら、砥石を前にひたすら練習します。その際もマジックは使い、砥石と鎬面の当たり具合を目で確認しながら感覚を養います。昔ながらの研ぎ方「鎬面を平らに研ぐ」を身につけましょう。

刃研ぎのコツ、注意すべきこと・・細かいことは山ほどありますけど、まずはここから

大丈夫! やればできるよー

コメント

  1. わざわざブログに書いていただきありがとうございます!すごく参考なりました。今度はコツを意識して研いでみようと思います。ありがとうございました。

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