鉋で形を削り出すこと

鉋、南京、しゃもじ

ものを作る理由は色々ですね。

家具が作りたいと思って勉強を始めました。もうちょっといえば、家具の構造や作り方が知りたかったんです。子供の頃に自動販売機の中がどうなっているのかとても興味があって、ジュースを入れているお兄さんの作業をずっと見てました。本体の扉が邪魔でよく見えないのがもどかしかった。家具の構造を知りたいと思った時も同じようなことを感じました。図書館にあるあらゆる書物を見たと思います。各大学の図書館にも遠方の図書館にも行きました。学校があった州は家具生産が盛んだったので家具に関する専門の図書館もありました。休みの日に同級生と一緒に2時間以上車で走って、とある街にたどり着きました。住所に行ってみると古い民家がありました。へーと思いながら、入ってみると・・家の壁一面に本が並んでいます。シーンと静まりかえり、電気も付いてません。おじさんが出てきたので、家具を勉強している学生だと告げました。歓迎してくれ、閲覧許可をもらいました。あまりの量に驚きと喜びがこみ上げます。見たい本がいっぱいありました。ドンドン棚から出します。他に誰もいないので二人で床に座って読み始めました。本は丁寧に扱い、出した本は戻さないのがルールだったと思う。

でも、本に知りたいことのすべてが載っているわけではありません。とても楽しかったけど、どこか不完全燃焼。今思えば、それでいいのかもしれません。もの作りは経験が大事ですから、知識だけでは足りないのです。とはいえ、1行の文、一枚の写真がとても大きな意味を持ち、何かのヒントのなることがあります。数年前、欲しかった本を入手しました。読んでみるとやはり昔と印象が違い、一言の重みが違います。そして細かい内容もやっと理解できました。知識との出会いもタイミングがあるようです。古い本なのでページが抜け落ちるようになり、ブックスドクターさんで修理してもらいました。次の世代に受け渡したいと思います。

今は家具の構造、作り方を一通り知り、道具もある程度使えるようになりました。好奇心は満たされました。さて、これからはそもそもの目的に帰るつもりです。それは自分の中にずっとある形を外に出す作業、これも子供の頃から思っていたことです。ただ、それが家具につながっていくとは知りませんでした。木と道具、そして先人の知恵、知識に出会えたので、あとは自分を思い出しながら作ります。

この道を行けばどうなるものか・・迷わず行けよ、行けばわかるさ。
(猪木さんありがとう)

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