10分で作れる簡単で使いやすいダボ穴治具

ダボ穴治具 5連ダボ継ぎ

 

新しい発想のダボ穴治具ができました。

正直なところ、仕事ではダボ継ぎはほとんど使いません。一番多く使うのは框組ならホゾとホゾ穴です。板組であれば隠し小根追い入れ継ぎにビスを併用するか近年はビスケットジョイントも使います。手の込んだものなら包み蟻継を好んで使いました。

継手を比べるには

1.強度
2.長期の信頼性
3.作業効率

の3つの要素がありますけど、家具を使う場所や用途、予算によってこのバランスを見ながら選択します。ダボ継ぎは作業効率はいいのですが、強度と長期の信頼性では中程度になり、その点で他の継手を選んでしまうわけです。適材適所があり、昔から選ばれる継手には理由があります。

ただ、これが自分が使う道具であり、DIYであれば、長期の信頼性についてはそれほど気にしなくてもいいと思います。使っていて何かあれば自分で調整、修理すればいいわけです。限られた道具で楽しむDIYならダボ継ぎが一番のオススメになりますね。

ダボ継ぎのメリットは

1.ドリルだけで加工できる
2.治具は自作できる
3.十分な強度があって必要なら補強もしやすい
4.木ダボは入手しやすい

ビスケットジョイントというはダボ継ぎに似ていますが、工具が専用で結構お高い、かつ使う際の制約もある。のでDIYにはオススメしません。うーん、家1軒分の家具をDIYするならあってもいいかな。(笑)お仕事ならそのコストや制約も納得できるのかなと思いますけどね。それと最近流行のポケットホールジグ、これは最高に合理的。ややこしいことには興味のない、とにかく早く結果を出したい人向けかな。専用ネジを使って、ネジ留めで組むのでその点をどう考えるかで評価は変わるかな。

継手を使って何か作ってみたいというのならダボ継ぎから始めようというのがKikikumaの考えです。なので、DIYにはダボ穴治具が必要でしょうということでダボ継ぎのやり方をもう一度勉強し直してみました。YouTubeにも治具などいくつか加工手順が公開されていますが、もっと簡単にできないのかなと・・色々と調べている内に半世紀前にはよく知られていた釘を使うテクニックがありました。私が敬愛するTage Frid先生の本に載ってました。これでいいのなら工夫すれば使いやすく精度も出そうだなと思いました。

しばらく前にノコギリガイドの可能性を見てもらうためにダボ穴治具の作り方を公開しましたけど、これはよく見かけるスペーサーを使う治具にはいくつか制約があったので、それをなんとかできないかなと思案したものです。繰り返しの加工精度は真鍮パイプを使うことでバッチリですけど、作るのにちょっと時間がかかり、気を使う工程もあります。それが気になっていました。

そんなこんなで、「あっという間にできるダボ穴治具」が生まれました。

慣れたら7分くらいで作れましたけど、控えめに10分にしておきました。5工程しかないので思いついたらいつでも作れるんです。これもいい所です。ダボ穴治具は材料の幅に大体合わせておくのがベストです。そして他の部材との取り合いでダボの位置を変えたい時もあります。作るものに合わせてササッと治具が作れるのでものすごく気楽でいいですね。

特徴といっていいと思います・・デメリットというほどではありません。この治具は向き合う材料に穴位置をケガクための治具なのでそこでのズレが出る可能性があります。そしてケガキに合わせて穴開けをしますからそこでも誤差が出る可能性があります。試作とテストを重ねてみて、慣れたら十分の精度が出ることを確認しましたが、ドリルガイド内蔵タイプの治具のように毎回同じ結果というのは難しいかもしれません。まあ、スペーサーを使う治具も固定方法でズレが出ることがあるので、ズレ量は使い方でも変わってくるでしょう。もちろん、ズレがどの程度なら納得できるのか?というのはそれぞれでしょうからね。Kikikumaはご存じの通り、ものすごく厳しく見ています。(笑)

今回この治具が公開できる内容かどうか判断するのに2列4連と230mm幅5連ダボでテストしてみたわけです。結果は動画内にありますけど、もちろん始めからうまくいったわけではありません。ズレが出る原因を考えて、確かめました。主に3つありました。

1.治具の穴開け手順
2.ドリルビット
3.材料の反り

これらを踏まえてジグを作り直して、テストしました。動画にある通りに作業してもらえればちゃんと結果が出ると思います。初心者様によるテストではちょっとズレましたね。これは経験値の差だと思います。本当に初めてドリルで穴開けした人ですから・・治具の特徴を理解して数回練習してから使ったら、誰でも楽しくダボ継ぎできると思います。

最後に大事なポイントです。ドリルビットがズレの原因になります。木口の穴開けはどうしても繊維のクセに左右されやすく、先端ネジ付きの木工ビットはその工夫が災いします。片刃の先三角ビットも切り粉の排出時にバランスを崩します。ビットがブレるのでもう一つですね。「切れる両刃のブラッドポイントビット」・・色々と試しましたけど、スリーMの竹用ビットがベストかな。ビットの長さが短いので何でもできるビットではありませんが、ダボ継ぎをするときのドリルガイド専用のビットとしてベストだと思います。その短さも安定した作業につながりオススメです。

10分のダボ穴治具でダボ継ぎのハードルは少し下がるかな・・だといいなと思います。ダボマーカーを使ってみたけど、なんだかなと思った方やスペーサーを使うダボ穴治具は面倒だなあと思う方に新しい選択肢ができました。試してみてください。

そうそう、想像力の豊かな方はお気づきだと思いますが、長さの制限もないので600とか900mmのジグも作れますよね。何に使うのかは・・

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