ドリルストッパー治具:1mm単位で調整できるストッパーを自作する

 

ドリルストッパー、ドリルビット


「ありそうでなかった治具シリーズ」始まります。

10の基本治具でkikikumaの仕事も一段落しました。ここからは細かいこと、当たり前だと思っていたことをあらためて考え直し、何か工夫ができないか試してみます。第一弾はドリル深さストッパー・・思えば一番最初の動画「トリマーでまっすぐ穴開けする」の時から何か工夫できないかなあと考えていましたから、再スタートする新生kikikumaが原点に戻るのにピッタリな治具になりました。

よくあるドリルストッパーは刃に取り付けるものがほとんどです。これの欠点は刃径ごとにストッパーが必要だったり、イモねじで付けるので刃に傷が付いたり、刃と一緒に回るので材料に跡が付いたりと・・まあ、課題はいっぱいある道具なんですよね。

で、刃に付けないストッパー・・塩ビパイプを切って使う方法は以前からありましたけど、これも細かい調整がしにくい。確かにドリルチャックからの刃の出具合を調整すれば微調整できるんですけど、1-2mmの調整はなかなか難しいですよね。ドリルスタンド、ガイドもありますけど、微調整できるようにはなってないし、使う度に再設定しないといけない。

そもそも止め穴を開けるのは・・

1.ねじ穴の深さを調整する
2.ダボ埋めする
3.ザグリする
4.皿グリする

この4つのシーンかな。この中でもザグリと皿グリはピッタリの寸法にしたいと思うと難しい。ボール盤があればなんてことない作業ですけど、ボール盤を持ってない人のための治具開発に注力してきましたから、ここはなんとかしたい。それにボール盤が使えない場面もありますからね。

数年前までTataMaruという座卓をよく作っていたんですが、Φ12mmのマグネット4つを天板に仕込むんですが、深さが5mmピッタリでないといけないので難儀しました。ボール盤では懐が足りないのでできない。仕方ないので型を作ってトリマーで加工していました。このドリルストッパーがあれば楽できたなあ・・と

ザグリと皿グリは小ねじやワッシャーなどを使う際に頭を沈ませたい時に使います。合板で治具を作る時はよくある加工です。そして薄い合板になると4mmで止めたいシーンが出てきます。これが結構難しいし、深すぎるとダメなんでちょっとずつ深さを合わせる作業になります。これがドリルストッパー治具で一発でできるようになります。

治具を作る時はM4-M6までのネジを使います。希にM8を使いますが、それはよほどの時です。M6だとΦ15mmでOKで、深さは4-5mmが多いのでその作業が快適にできます。深さ調整は9-11mmできるので初期設定では13mm深さまで開きます。大抵のシーンではOK。それを超える深さの時はパイプの長さで調整できますけど、実際の作業をやっていくとそんなに深さのバリエーションは必要ないことがわかります。皿グリもほんの数ミリ掘るだけです。まあ、ただちょうどいい深さにこだわると0.3mm単位で調整したくなりますね。(笑)

0.3mmのプラ板があればできます。動画内では敢えて詳細を見せませんでしたけど、実はやってます。皿グリのシーンでピッタリにしたかったんですよー。自分でも「おぉー」てなりましたから。

それと、塩ビパイプではなく透明アクリルパイプを使うのはビットが見えるからで、まっすぐ穴開けしようと思うと大事なことです。パイロットホールを開けていてもまっすぐをちゃんと意識しないと斜めに開いちゃいますからね。

動画の補足です。

アクリルパイプの切り方について・・丸ノコガイド治具を使ってますけど、この治具が丸棒、パイプなどを切る時に重宝します。昇降盤で切るよりも安全で寸法も合わせやすいです。パイプとか丸い材は刃が当たった時にすべって回るんです。材料もダメになるし、危ないです。だからしっかり押さえてないといけません。丸い材をしっかり押さえるのは難しいですよ。治具だと挟み込んでクサビで止めて、上からガイドで押さえるからバッチリなんです。

また、コツとしてパイプの下またはフェンスの方にサンドペーパーを貼って、クサビでしっかり押さえること。パイプに傷つけたくない時はサンドペーパーが当たる箇所にマスキングテープを貼っておく。今回は20-30mmの短いパイプがほしいので、切り落とす方が部材になります。治具だと切り落とす方は下に落ちるので転がっていっても刃に当たる確率が低く、そこもポイントです。更に30mmほどに切ってしまったパイプをあと0.5mm詰めたい・・今回はそういうことがありました。これもできます。注意点としては30mmのパイプに残りのパイプをつなぐようにしてクサビで挟んで止めることです。こうするとクサビも安定し、上に乗せるガイドも安定します。

丸ノコの治具としてはとても簡易なのでレールを使う凝ったものの方がいい場面もあると思いますが、丸い材というイレギュラーなものを切る際にいけてるなあ、ということをあらためて発見しました。

ドリルストッパー試してみてください。地味な治具ですけどね。便利だと思います。


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