見逃されているジョイント、組み手ですね。
それは雇い実(やといざね)を使うコーナージョイント。棚や箱物を作る時に板と板を接合する方法です。伝統的なものとしては小根を溝に差し込むジョイントがあります。それを雇い実に変えるという考え方。止め溝を掘ってサネを入れますが、トリマーがあればこの加工はとても簡単ですから、他のジョイントに比べると断然ラクちん。
で、実はkikikumaは仕事では多くの場合小根を使います。予算が許せば蟻継を使います。この2つの違いは長期の信頼性と「らしい仕事」ということ。蟻継は確かな接合であり、デザイン面でも優れてるところがあって、より伝統的な雰囲気を出すことができます。ただ、時間もかかるので使う場面は限られます。小根組み継ぎ・・これも伝統的なジョイントです。小根の両端を隠したものを使います。強度は十分あります。でも、接合としては緩みが出てくる可能性があります。ので念のため補強します。ビスを使ってきましたが、それはネジdeクランプ技法がまだなかったからで、今後はこちらで行きます。
さて、では何故雇い実を勧めるのか・・小根を切るのはやはり手間がかかります。テーブルソーがあれば比較的簡単です。でも、溝にきっちり合わせる必要はあるので気を遣います。しかも反った材ではうまく切れないし、組めません。
つまりDIYであれば雇い実をオススメします。1x材でも使えます。そして補強します。動画にある通り補強にはメリットしかありません。補強は1x6で3箇所入れていますが、2箇所でもOK。
無垢材の場合、接合をするのに接着剤は絶対的な解決策ではありません。木は動くので接着剤が切れることがよくあります。ジョイントを切って接着剤入れたから大丈夫・・とは思わず、補強もしましょう。ネジdeクランプの作業は楽しいですよ。木栓を使うのも伝統的な工程でネジ留めとは違う満足感があります。
そうそう、ダボ継ぎ・・雇い実組み継ぎと同様の特徴を持ちます。ダボ継ぎの場合はコーナージョイントだけでなく、框組み、枠物を作る時も使えます。簡単でオールマイティなので重宝しますね。敢えて違いを言えば、丸棒でつなぐか板でつなぐかでしょう。丸棒よりも板の方が接着面積が広いので、接着剤の力をより有効に使えることでしょう。
ダボ継ぎも面白いですよね。うまく組めたら楽しいです。でも治具は必要。雇い実組み継ぎはトリマーとストレートガイドだけでできるからより気軽かなと・・是非試してみてください。
動画の補足です。
■トリマーで切る3つの簡単なジョイント
切り欠きも小根も簡単と言っても相手材に合わせる必要はあるんです。その調整はストレートガイドとビットでしますが、微調整をするのでそこそこ手間です。やっぱり雇い実が一番簡単。溝を掘るだけです。溝位置も大体でOK。セッティングしたストレートガイドを動かさなければ精度もバッチリ出るので間違いありませんよ。
■ジョイントの設計とサネの作り方
サネにはホームセンターで売ってる工作材を使えば良いですが、厚みが5mmとあってもわずかにズレてます。余分に買っておいてゆるすぎる時は別の材を使います。きついのはOKで調整すればいいだけです。キツさの加減は・・伝えにくいけど・・ギューギュー押し込まないといけないようでは接着剤を入れたらわずかに膨れるので組み立て時に苦労します。材をひっくり返したら入れたサネが落ちるようではゆるすぎます。スッと入るくらいですね。サネの面取りは忘れずに。
万が一買ってきたサネ材がどれもゆるいとなれば、3/16インチのビットで加工します。4.8mmくらいなのでちょうどいいでしょう。事前にテストしておくといいですね。
今回ノコギリ治具で使えるストッパーを使いました。図面は無料公開していますので活用ください。スペーサーは15mm合板なのでノコ刃の厚み分少なく切れます。14.3mmくらいかな。溝深さを7.5mmx2にしておくとちょうどいいです。もし6mmx2でいくならストッパーの材料が当たるところに3mmのプラ板を貼れば調整できます。または、溝は両方を同じ深さにしなくてもいいので板が薄い場合、片方は6.5mm、相手材は8.5mmにすれば両方で15mmになります。ということでサネを15mm以上にすることはほぼないのでこのストッパーだけでOK。
■2つのジョイント補強方法
材料が薄い場合12mmとか・・ダボ埋めの方法は余裕がなく使えません。ネジdeクランプを使います。12mmというと引き出しの側板とか小箱ですね。補強しなくてもOKですけど、クランプがない場合はネジdeクランプです!
■ミニ・トリマーテーブルで加工する
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