木工「10の基本の治具」を自作するとここまでできる

ドリル、トリマー、電動カンナ、丸ノコ

 
基本の治具が勢揃いしました。

初めての動画を共有してから2年半になりました。そして、10の基本の治具ができました。材料を切り揃えること、平面出しをする、ジョイント加工、組み立て作業までが可能となりました。ついにブログのタイトル通り「大丈夫!なんでも作れるよ」と言える日が来ました。細かいことを言えば、いくつか制限はありますけど、それは工夫次第でなんとかなります。できないかも・・と思っていたことができるようになったということです。めでたし!

できないかも・・の筆頭は平面出しでしょう。手鉋で時間をかけて作業したい方を除いて、手押しカンナと自動カンナがない場合、とても手間がかかってやりたくないことだったと思います。でも、電動カンナ治具かルータージグでそれも可能となりました。大型機械のようなスピードや精度は望めないかもしれません。でも、捻れている、反ってる材料から解放されます。

動画内の治具一覧(紹介順)
1.「丸鋸用横切りガイド」
2.「丸鋸用縦挽きガイド」
3.「電動カンナ治具」
4.「上下集塵付きトリマーテーブル」
5.「精密ノコギリガイド」
6.「自作ダボ治具」
7.「クランプを買わないで組み立てる:ネジdeクランプ」
8.「簡単ドリルガイド」
9.「多用途ミニワークベンチ」
10.「トリマー・カンナ治具」

これ以外に
平面出し用ルータージグ
10分で作れるダボ治具

がありますけど、敢えて10個としました。ちなみに「治具」ってどこからどこまでが治具なのかなって考えて調べてみたけど、木工ではJigは道具本体以外で付加的に使うものの総称という感じでザックリしてますね。金属加工では材料を押さえる設えをJig、押さえそのものがある程度の大きさで据え置きされているような場合はFixtureと呼ぶようですね。押さえがないと金属は作業できないから明確なんだと思います。木工のJigは一般化すると固有名詞が与えられてルーターテーブルとか呼ぶようになる感じ。 

kikikumaの治具の特徴を敢えて言えば「実用的であること」ですね。実作業に合わせて工夫していることだと思います。今回の動画では箱を作る時の全体の流れを見てもらいました。作業には一連の流れがあります。前の工程は後の工程のためにあります。後の工程をやりやすくするために前の工程に工夫をしておきます。これは個々の治具でも同じです。例えば電動カンナ治具では両面の平面出しを目的としています。ということはまず片面を捻れのない状態で平面に仕上げる必要があります。ので、材料押さえブロックに捻れを取った状態で固定してから加工します。この工夫なしでは平面のように見えて捻れたままの状態になりかねません。手鉋をかけたことのある方なら鉋をかけたら平面になるわけではないことをご存じでしょう。意識していないと捻れを作り出してしまうんですね。そして捻れは箱を組む時に現れます。組み上げた箱を平たいところに置くとカタカタします。これが大きくなります。ひどくなるとガタガタです。(笑)

この歪みを取る作業は難儀ですから、できるだけ少なくなるようにしたいのです。木ですから捻れを完全に取るのは難しく、一つ一つの加工にもズレがあります。ですから歪みは出るものです。それをできる限り減らすよう意識して工程を進める方が余計な作業も減り、仕上がりも良くなるものです。つまり、平面出しから箱の完成までの工程はすべてつながっているので、それを常に意識してもの作りをしています。そして治具の設計も同様です。それにしても カタツキを取る工程で「トリマーでカンナ」を使うと楽ですねー。ありそうでなかった治具ができてよかった。

また、カンナの高さを調整せずに材料高さをシムで調整するのは、実際の作業に合わせているからです。例えば1x材(19mm)を再製材しようと思って、16mmを目指していても15mmになってしまうことがあります。捻れが関係しますけど、思った以上に削らないと平面にならないことがあって、結局厚みが予定より減ってしまう。でも、材料の厚みというのは揃っていることが大事ですから全部が15mmなら良いんです。ただ、ここに至る過程で、できるだけ16mmに近く残したいと思うわけです。あるいはできるなら16.5mmにしたい。なぜなら次にジョイントの加工があって、材厚があまり薄くなると困るからです。設計上も寸法の取り合いがあって変更しないと納まらなくなることがあります。

ので、あと少しで平面が出るところまで来たら「最後に0.3mm取って仕上げよう」と考えます。で、削ってみたら・・あ、あともうちょっとか・・ということがあります。ので再度0.3mm取る。実際こういう作業になりますから材料の高さを調整する方が合理的だと考えます。0.3mmの精度で繰り返し、簡単に調整する方法はシム方式だと思います。

この10の治具の内、半分は当初から作ろうと思ってました。やってみたら課題がいっぱいあって、時間もかかりました。後半分は派生で生まれてきました。今思うと「お、全工程揃ったねー」という感じです。治具を作るのも手間がかかりますね。でも、「木工は治具を作ることから始まる」という人がいます。手道具を思うように使える達人の方々でも、電動工具は使います。となれば治具を作ることが可能性の扉を開く鍵だということです。

皆さんそれぞれにやりたいこと,作ってみたいものは違うと思います。でも、基本は同じです。材料を整えて、接合部を加工して、組み立てる。10の治具が揃うと土台が完成。次は何を建てるかです。皆さんが想い描いてる作ってみたい家具に是非チャレンジしてみてください。その際に「これがあったら」「これができたら」いいのに・・ということがあったら是非コメントください。お手伝いできるかもしれません。さあ、次のステップに進みましょう。

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