画像はものすごく捻れてる板。ここまでひどいと・・短く切ってから更に小割にして再製材するしかないですね。さて、ズレに関わる内容の質問には答えましたので最後に質問2ですね。
<質問2> 今回使用した木材がホームセンターとかで購入できる安くて柔い15mm程度の杉板を使用したのですが、フラットにする作業を終えて数日経つともう歪みが出ている様な気がしまして、ただの確認不足かも知れませんが、柔い材で15mm程度の厚さですと数日でまた歪むものなのでしょうか?
<答え> 残念ながら歪みます。ただ、これは程度問題というか、大きく反っていた材がある程度平たくなれば作業性も加工精度も上がりますからそれで十分と考えます。幅20cmの材で中央で2-3mm反っていたとして、平面出し作業をして数日後1mm以下なら問題はないですね。基本的には柔らかい、厚い材料の方が安定してます。15mmだと平面出し作業の仕方にもよりますけど途中ですでに反ってくる可能性もあります。もし大きく反るようならまだ乾燥が足りない材なので・・一旦使うのをあきらめるか・・作るものにもよりますけど、気にせず作業を進めます。1年寝かせれば使えるでしょう。
もうひとつ、とても大事なことは平面出し作業後に材料を重ねたり、平置きにしないこと。そのまま半日おけば反ります。ので木端立てにして、材の両面に均等に空気が触れる状態にします。またはビニール袋などに入れて空気を遮断します。手間ですけど、反りが気になるステージに至ったらこれが一番大事な作業です。
材料の反りは木材の種類と乾燥具合に左右されます。乾いていればいるほど材は安定します。乾燥方法にはザックリ2種類あります。天然乾燥と人工乾燥。日本のように湿度が高いと天然乾燥では含水率(木に含まれる水分量)は18%ぐらいまでは下がると言われます。ただこれでは安定している材とは言えません。もう少し落として14-16%くらいにした方がいいので人工乾燥器に入れることが多いです。ホームセンターでKD材と言われる物が最近増えました。Kiln Driedの略で、人工乾燥材のこと。15%前後というのは建材としてはOKだけど、家具材としては足りないかな。9-10%ぐらいまでいけば取り敢えずいいのかとは思います。輸入材、SPF材などはよく乾燥させてあるので安定してます。一方国産、あるいは国内で乾燥させた材はあまり乾いていない傾向がありますから不安定な場合があります。
機械でも手作業でもカンナ等で平面出し作業をすると反りとクセが少し抜けます。一旦抜けてもクセは残っているのでまた反ってきます。ただ、元のようには戻らず平面に近い状態にはなります。安定した状態、もうほぼ反らない状態にするにはとても長い時間がかかります。ある程度乾いた状態から更に数年寝かします。指物のような繊細な作業をするのであれば数十年かけます。その間、何度か平面出し作業をしながら寝かすこともあります。材料を寝かすのは含水率を更に下げるためです。
ということですなんですが、DIYで考えた場合・・KD材を使うのは基本として、平面出し作業後しばらくすると反ってくるものと考えて、大事な作業から手早く進めます。一番影響を受けるのはジョイントの加工です。手順としては平面出し作業、最終寸法に切る、ジョイントの加工となりますが、これを1日または2日の内に終わらせます。ゆっくり作業を進めるのなら材料を部位に分けして対処します。例えば棚なら天地板2枚だけ作業し、終わったら次に側板、最後に棚板のような感じ。
最後にフラットにする作業はアイロン修正をしたんですか?それとも平面出し作業をしましたか?アイロン修正は道具箱を作るで見せましたけど、あまり細かい説明はしてませんから補足しておきます。
アイロン修正では反りが直るわけではなく、一時的なものです。加工をしやすくするのが目的です。どれくらい戻るかは材料にもよりますけど、早ければ数時間で戻ります。ですから修正して、乾いたらすぐに加工をしてください。アイロン修正で時間が経って反ってきて、まだ加工が必要なら、もう一度修正します。ただ、これを何度も繰り返すと反りがひどくなることもあるのでやはり段取りをしてできるだけ短時間で加工を済ませます。アイロン修正は方便ですから、できれば平面出し作業をしてから加工するようにしたいですね。その手間はかかりますけど、すべての作業は楽になり、精度も気分も上がります。
もの作りは色んなところで辛抱する必要があります。自然からいただく材料を使う場合は材料に自分を合わせるしかないですね。反りは木の性質ですから、知恵を使い、うまく付き合うようにするのが道ですね。板を用意して平面出し作業後、桟木に乗せて平置きし、毎日の反り具合を観察するのも面白いですよ。上面が乾燥しやすいから反ってくると思いますけど、湿度や材の状態で逆の場合もあります。数ヶ月観察したらまた平面出し作業して、始めの頃との変化を見ると面白いかも。

こんにちは
返信削除こちらの記事も丁寧に解説いただきありがとうございます。
なるほど数日で歪んでしますのですね・・・
木端立てというのは壁などに板を立てかけて保管するイメージでいいのでしょうか。
調べても建設寄りの検索結果などが多く合っているか判断できなかったので。
またビニールに入れる場合は一枚一枚小分けで板を入れるということでしょうか。
まとめていれると重なってしますので。
材料の乾燥などが重要なんですね。
杉材が安いので使用してましたが、KD材の方が歪みという面だとDIYしやすいのですね。
次回使用してみたいと思います。
指物だど乾燥が数十年となると、しっかりと修正して乾燥させた材はとても貴重になりそうですね。
工程がすくない物は1,2日で素早く集中してジョイントの加工まで終わらせて、工程が多い物に関しては部位で分けて今度から対処したいと思います。
最後にフラットにする作業ですがアイロンではなく平面出し作業を行いました。
アイロンは一時的なもので加工をしやすくするもので、早いと数時間で戻るということは
アイロン修正の場合はもっと時間的猶予が少ないということですね。
そうなるとおっしゃるとおり平面出し作業をしてから加工になるのですね。
がんばってこれからは少し作業スピードと段取りを意識して作業していこうと思います。
反りの観察のお話ですが、プロの方だと一度は経験されることなんでしょうか。
お話を聞いて純粋にそういったこともするのか!すごい!と思ったので。
歪みの質問にも丁寧にお答えいただきありがとうございます。
こちらの記事もとても勉強になりましたし、ズレとの記事と合わせてスッキリいたしました。
ありがとうございました。
いつもありがとうございます。
削除加工途中の材料を置いておく方法は「工具箱の動画」https://youtu.be/iBVs8SEk5dI
8:20くらいで見せています。空気を両面均等に触れさせるか、すべて遮断するかということです。
木材の乾燥・・そうですね。指物の世界ではおじいさんが材料を用意し荒取りし、乾燥させたものを数十年後に孫が使うということもあるそうです。価値観を変えず、連綿と続くもの作りの世界だけでできることですね。そして段取りは大事ですね。木の都合に合わせることですね。
最後に観察の件・・これは修業先の先生に教わりました。若い衆にも伝えています。ただ、あまり聞かないので皆がやっているわけはないでしょうね。いずれにしてもすべてのことに対して観察は大事だと思ってます。現象を可視化することでイメージが出来上がり、より深く理解が進むということですね。日々の観察で0.1mmと0.3mmの違いは見えるようになります。そうなると0.5mmはすごく大きい数値になります。それが全ての精度につながります。学生時代からノギスを使ってました。木工で・・と笑う人もいます。でも、厚みの違いが「見える」ことでわかることがあります。DIYerにこそデジタルノギスを勧めます。1/100mmを測るためより、数値の違いを見て全体を理解するためです。理解がスピードアップしますからね。
こんにちは
返信削除ズレのお話の記事と含め様々なお話ありがとうごさいます。
ゆっくりですが知識と経験を重ねて行きたいと思います。
今回もありがとうございました!