トリマーテーブルの作り方と使い方

トリマーテーブル

とてもシンプルな構造のトリマーテーブル

今、敢えて設計するとしたらできるだけ簡単に作れるものがいいなと思いました。
凝った作りのテーブルはありますが、作業をするためならこれで十分です。工房で30年近く使っているものがありますが、基本は変わりません。むしろこの新作の方がいいですね。

とはいえDIYですから、色々な機能が付いているテーブルやフェンスを作るというのも楽しいでしょうし、色々と検討してみてください。簡単なものを作って、使ってみたいと思っている方の参考になればと思います。

追記:ミニ・トリマーテーブルを設計しました。まずはこれから!

「トリマーテーブルの作り方と使い方 作業がしやすい上下集塵付き」

設計の経緯など補足しておきます。

■トリマーテーブル、3つの特徴
  1. 上下に集塵ポートがある
  2. 回転式フェンス、左に中心軸
  3. ちょうどいい高さのフェンス
フェンスに集塵ポートをつける設計はよくありますし、工房で使ってきたものはその構造です。でも、ミゾ加工などは切り粉ってほとんど下に落ちるのであまり吸わないんです。掃除も大変。下からも集塵できたらいいですよね。

近年集塵に対する意識も高まってきましたので、トリマーを作るメーカーさんも集塵ダクトを標準装備するようになりました。古いマキタの3703には集塵オプションすらありませんので、最新のRT50/40のダストノズルを加工して取り付けました。本体径がたぶん同じなのでうまくいきました。上下での集塵をするとほとんど切り粉が出なくなりました。ならい加工をするときはさすがに天板に切り粉が残りますが、下には落ちません。十分役立ちます。

回転式フェンスは手が込んでないので微調整とかできないのでは・・と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。慣れたら0.1mm以下もできますし、手早くできるのが特徴です。

フェンスの高さはとても大事です。ルーターテーブルは様々な加工ができますが、この高さが必要な場合があります。また安全に使うことを考えるとちょうどいい高さがあるんです。85mmあたりがいいようです。昇降盤も同じような使い方をしますのでこの高さにしてあります。

■5つの加工方法、使い方
切り欠き、ミゾ加工が一番よくする作業です。作業の手順はどこの寸法を基準にするかで決めますが、守るべきルールは「フェンスを動かすときは刃から離す方向で」・・これを必ず守りましょう。特殊な加工方法で敢えてこれを破ることがありますが、それは本当に希なことですし、特段に注意が必要な加工方法です。ここでは触れません。その他にもよくある加工方法を合わせて5つ紹介しています。

■トリマーテーブルの作り方 
天板に敢えて9mmの合板を使いました。厚い方がいいこともありますが、厚ければビットの有効長をその分失います。それを調整するために天板裏に彫り込みをしますが、その作業を考えると、どっちもどっちだと思います。簡単に作れる方がいいと思うので、掘り込み作業をせずに桟木を付けることで天板の平面性や強度を出す方を選びました。集塵ホースを取り回すためのスペースも必要ですし、天板面は作業台から10~20cmくらい高い方がいいので、いずれにしても桟木が必要なのです。

■フェンスの作り方と調整
今回はこれ以上簡単にできないL字のフェンスです。フェンスを直角にしないといけない・・という考えは捨てました。なぜなら、そのこと自体がなかなか難しい上に、そもそも合板の精度に依存しているからです。最高精度の合板を入手して作るのなら別ですが、普通の合板であれば、ある程度の反りやねじれも許容しないとなりません。要はビット周りがある程度直角になっていればいいという考えです。例えば15x600~900mmの合板を一枚入手して作るとしたら、その中で一番まっすぐでねじれのない部分をフェンスに使います。これで十分なはずです。ねじれを調整しないと使えないようなら裏からその部分に当て木など接着します。最終調整にはプラ板のシムがいいですね。様々な場面で有用ですよ。タミヤのプラ板セットがオススメ。

ちなみに、ジグを作るのなら一番平面性が出ていることが多い「シナランバー」をオススメします。多層の合板は切り口がカッコいいのですが・・意外と反り、ねじれがあります。反りはまだいいのですが、ねじれはやっかいです。

■集塵ポートを作る
簡単な箱です。これで十分です。しっかり機能します。これを敢えてフェンスに固定せず、動かせるようにしました。ならい加工などに重宝します。

■集塵ホースの取り回し方
ホームセンターで簡単に入手できる排水ホースと接合部材を使いました。掃除機やポータブルな集塵機のホース径は30~50mmくらいですから、この程度がちょうどいいです。ルーターやトリマーから出る切り粉はとても細かいのでこれで大丈夫。洗濯機の排水ホースというのもありますし、そちらの方が少しお買い得ですが、色はグレーが良かったので(笑)

■仕上げをする
動画などでジグにワックスを塗るシーンをあまり見ないですね。木工機械もそうですが、天板や定盤の滑りはとても大事です。薄めたBRIWAXを長らくその用途で使っています。シリコンスプレーよりも長く持ちますし、木にも優しい。

ルーターやトリマーはほとんどの作業が手持ちでできますが、テーブルがあると、より安全で失敗が少ないと思います。また作業性もいいです。そして更なるジグを加えることで昇降盤に近い作業ができるようになります。トリマーやルーターの可能性、木工の幅が広がります。

詳しい製作用図面があります。細部の寸法を参考にしてみてください。
こちらからどうぞ

追記:トリマーを手持ちで使う時のミニ作業台を作りました。DIYでのほとんどの作業は手持ちでできますし、テーブルを準備する作業も煩わしく思えることがあります。そんな時はミニ作業台が便利です。ルーターテーブルは加工数が多いときや複雑な加工に向いています。ミニ作業台は手道具との相性もいいので、両方持っていてもいいのではと思います。
  

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